【ノ】ノートつけはじめましてん
小説やら批評やらを漫然と読み耽っている。これはもったいないと思い始めた。琴線にふれる名文も3日と待たず忘却の彼方へ押しやられてしまうからだ。
そこで賢い僕はノートに名文を書き残すことにした。今回は現在絶賛読んでる中の夏目漱石『吾輩は猫である』の中からいくつかを紹介しよう。
「人間の定義を云うとほかに何にもない。ただ入らざる事を捏造して自ら苦しんでいる者だと云えば、それで充分だ」
「世の中を見渡すと無能無才の小人ほど、いやにのさばり出て柄にもない官職に登りたがるものだ」
「人間は魂胆があればあるほど、その魂胆が祟って不幸の源をなす」
「世の中では万事積極的のものが人から真似らるる権利を有している」
「安心は万物に必要である」
「今の世に合うように上等な両親が手際よく生んでくれれば、それが幸福なのさ。しかしでき損こなったら世の中に合わないで我慢するか、または世の中で合わせるまで辛抱するよりほかに道はなかろう」
「あまり合わない背広を無理にきると綻びる」
他にもたくさんあるのだけど、今回はこのへんで。敬具。