死の瞬間に人は何を想うのか。興味深いことだと思う。科学が発達すれば、死の瞬間をシミュレートできるのかもしれない。臨死体験は容易になるかもしれない。それはそれで尊いのだろう。人の知的好奇心を満たすのだろう。でも、それはウソもんに違いない。マ…

――事実とは、真実を切り取ったものである。編集済みのものである。いかなる場合においても、編集は恣意的であることを避けられない。朝と夜を同時に拝む方法を見つけない限り、本当の客観は訪れない。――形而下に確かなものは何ひとつない。確かなものは、机…

この頃歴史に関心がある。歴史ものをテレビなんかで見かけると、時間を忘れてじーーーっと眺めている。別に教養を身につけたくなったわけではない。自然に関心が向くのである。僕は歴史を敬遠してきた。歴史というものの不確かさに、価値の立脚を見送ってき…

第一印象は人を支配する。――僕は日本酒を好む。初めて口にした日本酒が上等だったからである。あれがもし飲み放題の日本酒だったならば、僕のいちばんはカルアミルクになっていたはずである。――僕は夏目漱石を好む。初めて読んだ『吾輩は猫である』が読みや…