【二】二兎も三兎も追う
本を3冊同時に読んでいる。同時というのは言葉のアヤで、右手と左手と足でそれぞれ本を開いて読んでいるのではなく、3冊の本をローテーションしながら読んでいる。
冒頭の文を読んで「さすがインテリ浪漫さんは読書量もハンパじゃない」と思われた方も少なくないだろう。
実際は逆である。要領が悪くて三兎も追うはめになっている。
ダラダラ読んでは集中力を欠き、ひとつの作品の世界観に漬かることに疲れ、新しい本に手を出し、また集中力をロストする、なんてことをしていたら読み途中の本が渋滞をなしていたというわけだ。
僕のようなハイパーインテリの読む小説とはいかなるものか、気になってしょうがない人も少なくないと思うので一応記しておくことにする。
太宰治『斜陽』
どれも機知に富んだセレクションである。
物事にはいくつかの面がある。それらが合わさって立体的な価値を持つ。
二兎を追うもの一兎を得ずということわざがあるが、それは捉え方のひとつに過ぎない。
今回3冊の課題を抱えて思うことは、確かに1冊1冊の世界にどっぷり浸かって著者の意図と組み合うような感覚はないものの、3冊を比較して客観的な評価を自分の中に持てているなあということ。
物事に絶対的な価値などないのだ。場面場面で変わる良し悪しを瞬時に捕らえて判断出来ることが大事マンブラザーズなのではないかと、読むべき本を抱えて思うこの頃でござるよ。