【チ】ちょっとミーハー
本屋さんというのはとてもわくわくする。まだ見ぬ名作や好みの作家の新刊がずらずらと並んでいる。
そんな中できらりと光る棚があった。サイン本のコーナーだ。
僕はミーハーである。語源に照らして言うならばみいちゃんはあちゃんというやつだ。
僕はミーハーでありたくなかった。俗世間から離れた孤高のロンリーウルフになりたかったのだ。だけど体は正直といいますか、気が付いたらその本を手にレジスターの前の列に並んでいたのである。
つまらない理由で手に取ったこの本はとてもつまる本であった。短編集で、あるものはたったの7ページしかないのに、恋の始まりから終わりまでがしゃんと描かれていた。
素敵な出会いのきっかけになるならミーハーも悪くないなとロンリーウルフ大和田は思った。あくまで孤高のロンリーウルフ、そしてちょっとミーハー。悪くないではないか。