【リ】リリリリリ!
音声メッセージを着信した。
今の時代はメール感覚で音声も飛ばせるのだ。科学の力ってすげー。
音声は31秒。長い。
メッセージはまっすぐ故に全力で壁にぶち当たり、凹み、立ち上がる、いわばファイタータイプの友人からだった。この頃も何やら落ち込んでいるようだった。
いつも全力で壁にぶつかりに行く姿勢が心配だった。リリリリリ! 僕の心配症の虫が警報を鳴らしだしだ。
この音声ファイルを開くと「今までありがとう。ちょっとばかし生き苦しくなりました」とかなんとかお別れのメッセージとお礼なんか吹き込まれてやしないか、少し懸念した。
恐る恐る再生ボタンを押すと調子外れの歌が録音されていた。聞いたことのある歌だった。
音なんか3つにひとつは外してるような歌で、お世辞を何枚重ねても上手だなんて言えない代物だったけど、誰かに良く見せようとする感じやナルシシズムみたいなものがまるでなくてとても好感が持てた。
いい歌だった。
勝手な心配に身をやつした僕はなんだか気に食わない気分になって返信を一言。
「迷惑です」