【ヨ】良い恋、悪い恋
眠れない夜は無理して眠ることはないって、昔読んだ誤植の多い小説に書いてあったのを思い出して、長いこと放り出していた本を読んで夜を明かした。
読んでいなかった分をぴったり朝に読み終えたので気分が良い。恍惚。
読んでいたのは、位置づけるなら恋愛短編小説。山田詠美の『4U』という本。
15年前の初版以来刷られていない模様。いい本なのに。読んでいると体が痒いのは重ねた年月のなせる業か。
化学調味料たっぷりの恋愛小説は受け付けない、という人にはぴったりの1冊。逆に、恋愛はかくあるべき、という、お堅い人が読んだら怒り出しそうな内容。
ほんとうの、愛とは何か、恋とは何か、と人に問われて考えたことが何回かある。僕のゆるゆるの脳みそでは何の結論も導き出せなかった。
ほんとうの愛だとか恋だとかという概念は、誰かがでっち上げた形而上のものなのではないかと思う。
本当にあるのは恋と呼べそうな何かふわりとした感情だけで、どんなに脳みそをしぼっても両手を振り回してもそれは捕まえられないのだ。そこにいいも悪いもない。ホンモノもウソモノもない。綺麗も汚いもない。あるかないかなのだと思う。
春ですぞみなさま、良い恋を。